2021年ネイバーフッドサロン 総括
更新日:2022年9月24日
ようやくコロナ終息の光が見えてきた9月から10月にかけ、佐渡・相川と東京・新大久保をオンラインでつなぎ、スローネイバーフッドサロンを全5回、開催しました。

5回の内容は以下のとおりです。(詳細は各回のリンクをクリックしてご覧いただけます)
世界的にコロナウイルスが流行する中で、社会では3つの分断が生まれたと考えています。
1つ目は「移動」。
コロナウイルスの流行は、国境はおろか、県境の移動さえもが制限されました。それによって、これまでの地域から都市への一方的な情報発信(メディア)とそれを受け取った都市の人が観光客として地域へ行く従来の観光で築かれた東京と地方の関係性はあっさりと分断されてしまいました。
2つ目は「体験と交流」。
コロナによってzoom等を用いたオンラインの体験・交流が当たり前になってしまいました。これまで当たり前だったリアルな体験や交流は、オンラインでの交流で完結してしまうようになることで失われ、リアルとオンラインの間にも分断が生まれました。
3つ目は「情報」。
SNSなどのオンラインツールが爆発的なスピードで進化していく中で、見た目や映えを求める表層欲求を持つ人と、よりリアルな深い情報やつながりを求める深層欲求を持つ人たちの距離が離れていきました。リアルの場が失われたことによって、表層の情報で人々が動くようになり、互いに交わりあうことがなくなり、そこにも大きな分断が生まれました。

そのような状況に包まれる中で開催されたスローネイバーフッドサロンは、「スローネイバーフッドとは何か?」ということについて深め、今まで、一方通行であった観光誘客の取り組みのあり方を見直し、持続的な新しい東京と地方の新しい関係を浮かび上がらせるサロンとなりました。

毎回、観光や福祉に携わる人やシェフ・パティシエから、インド料理店やシェアハウスのオーナー、コミュニティマネージャなど多彩なゲストを迎え、議論を深めていくなかで、「寛容性」「さよならコミュニティ」「生態系」といったユニークなキーワードとともに、スローネイバーフッドの輪郭が浮かび上がってきました。
これからコロナ後の未来に向けて動き出します。
分断があるからこそ、その分断された両者の間を分断を解く新しい循環の形を創り出すことで、新しい価値が生まれる可能性があります。異なる価値観を持つ者の間の交流にこそ価値が生まれます。それがスローネイバフッドです。

コロナによって生まれた分断を元に戻すのではなく、分断によって生まれた異なる価値観を持つ地域、人同士の間に「循環」を生み出すことで新たな価値を引き出すことが必要です。
毎回サロンでの議論を深めるとともに、東京・新大久保と佐渡・相川をオンラインで結び相川・車座のまちづくりの取り組みを紹介いただき、地域に住むものの思い、外から移住して地域のまちづくりに参加していく苦労などの話も同時に伺っていきました。佐渡・相川に限らず、日本の各地は、地域内の濃密なおつきあいに限定されると、閉塞感がうまれていくことも事実であり、それを打破するには個々人の努力に依存するしかありません。
異なる価値観を持つ地域、人との間で生み出される循環のお付き合いこそ「スローネイバーフッド」であり、言葉で説明できるものではなく、それぞれが実践しながら感じるものでありますが、「スローネイバーフッド」のゴールは、ただのお付き合いで終わるのではなく、お付き合いの中から気づきを見出し、化学反応を起こすこと。化学反応を起こすことで、そこから両者の価値観が融合した新たな価値が生み出され、循環経済=NEIGHBORHOOD ECONOMYを生み出すことです。

化学反応を起こすためには、互いの異なる価値観を受け入れあうことが必要で、そのために必要なのが「寛容性」であり、寛容性を高めることが重要です。
では、「NEIGHBORHOOD ECONOMY」はどのように形成されていくのでしょうか?
その答えは「10ⁿ」という考え方です。

これは、最初から10000=10⁴ではありません。これまでの東京と地方の出会いの機会は、10000人を誘致する観光プロモーションでした。しかし、コロナによって大規模なプロモーションイベントの開催が難しくなってきたなかでスローネイバフッドが重要となってきます。
そこで生まれたのが「10ⁿ」という考え方でした。
10人の出会いから100人へ(10²)
100人から1000人へ(10³)
1000人から10000人へ(10⁴)
これは、10人(10¹)の出会いから始まるお付き合いを表します。
はじめは10人の出会いでも、出会いから交流が生まれ、お付き合いが始まります。
お付き合いの中で化学反応が生まれ、そこから新たな価値が生み出されていきます。

このように「SLOW」にお付き合いの輪を広めていくことで、互いの異なる価値を理解しそれを交換し合うことのできる循環が生まれ、それがマーケットとなり「NEIGHBORHOOD ECONOMY」が生まれていくと考えます。
その先には、きっと東京にとっても地方にとっても豊かな暮らしがあります。
今回、全5回にわたって開催したSLOW NEIGHBORHOOD SALONはまさに10¹の「出会い」の場となりました。
このSALONへの参加を機に佐渡と出会った人たちは、今度は佐渡へ「交流」の旅に向かっていきます。
